台湾の有機ごま油、濃厚に香る滋養たっぷりの油

ごまは湿った暖かい環境を好み、20度から25度の間でよく成長します。根の張りが浅く、水が溜まるのを嫌うので、柔らかく肥沃で水はけのよい土壌と、日当たりの良い農地で栽培する必要があります。台湾は台南一号という品種がメインに栽培されており、生産地域は主に台南、嘉義、雲林で、特に台南は「ごまの郷」として有名です。花蓮と高雄でも若い農家が参入していますが、彼らを悩ます問題は除草と病気で、除草は手作業で行い、うどん粉病はナローレンジオイルを使用し防ぎます。「春は植えやすいが収穫が難しく、秋は植えにくいが収穫がしやすい」といわれるように、多くの農家が自然災害を避け、秋の植え付けを選びます。 種まき後30日間でごまが成長し、淡い紫色の花が咲いた後２ヶ月で収穫できます。

有機ごまの収穫には、引き抜き、干し、叩き、ろ過するといった作業が必要ですが、これらは機械を使うのが難しく手作業で行います。手で一株一株を引き抜き、10〜20の株をまとめて結び、4つの束を一つに積み上げ30日間干して乾燥させます。ごまの鞘が緑色から茶色になったら、束を逆さに置き45度の角度で木の棒で叩くと、サヤが開いて粒が外れ、小さなごまが飛び出します。

現代では、機械を使って油を搾りますが、台湾の伝統的な製油方法は知流価値があります。まず、薪を燃やし、手動で火力を制御しながらごまを回転筒に入れて加熱します。ごまの成熟度はその都度異なるため、火加減と燃焼時間は経験により調整します。ごま油を搾る工程は、ごまを炒り、冷まし、粉砕し、蒸したものを布に包み、布ごとプレス機に仕込んで油を絞り、雑物を沈殿させ、ろ過し、瓶詰めする、というものです。ごま油の一滴一滴は伝統的な知恵の結晶だといえます。

黒ごま油は、「坐月子」という産後の肥立ち時期の女性に高い栄養を与え、「月子麻油」とも呼ばれます。《神農本草經》の記載によれば：ごまは「味は甘く滑らかで、肝臓と腎臓に良く作用し、5つの内臓を潤し、筋肉と骨を強くし、視力を改善し、筋肉を成長させ、脳髄を満たす」食品です。ごま油に加え、ごまペースト、擂りごまをお湯で割った飲み物は人々に愛されています。