栄養たっぷりの植物性チーズ、有機アボカド

アボカドは見た目は洋ナシに似て、チーズのような果肉を持ち、「森のバター」とも呼ばれる中米原産のフルーツです。また、栄養価の高さではギネス世界記録に掲載されており、アボカド、バター洋ナシ、ハッピーフルーツなどとも呼ばれます。 アボカドはでんぷんや砂糖を含まないため、甘みはなく、果肉は脂肪が豊富で、ビタミンA、C、B6、葉酸、ミネラル、食物繊維など11種類以上の貴重なビタミンが含まれています。そのほかにも、一価不飽和脂肪酸を含む唯一のフルーツであり、低糖質で高エネルギーな優良食品として広く国民に愛され、その生産価値の高さから「緑の黄金」といっても過言ではありません。

台湾のアボカドは日本統治時代の初めに導入されましたが、当時の品種や栽培技術ではうまく育たず、1950年代になって農業試験場嘉義支所が研究と普及に力を入れた結果、栽培が軌道に乗り、栽培面積と生産量は徐々に増加しました。主な生産地は台南の大內鄉、麻豆鎮、佳里鎮が台湾総生産量の70％を占め、次いで嘉義の竹崎鎮、花蓮、屏東などで散発的に栽培されています。

アボカドは温暖多湿な気候を好む熱帯果樹で、生育適温は13～28℃、十分な日照が必要で、水はけの良い砂質ロームまたは砂利ローム土壌での栽培に適しています。 アボカドは根が浅く強風の被害を受けやすいので、強風の当たらない場所や防風林のある土地で栽培するか、竹や金属の支柱を立てて保護する必要があります。

有機アボカド農家は、アボカドの成長特性を理解し、果樹園設計の際には排水に重点をおき、根圏土壌を柔らかく保ち、果樹園の通気性と排水性を良好に保ちます。 植え付け間隔を広くとり、間に野菜やパパイヤを植えて利益を上げる工夫をします。 果樹園の管理は鍬による深耕を避け、稲わらなどで根本周辺を覆うことで雑草の発生や水分の蒸発を抑えます。過剰な水やりは根の酸素不足や根腐れを引き起こしやすいため、同時に水やりの管理にも注意します。有機アボカド農家は果樹園の衛生管理に力を入れ、冬には枯れ枝を除去して感染源を排除し、きちんと剪定をおこないます。そして時期を見て有機液体肥料を施す必要もあり、果実が小さいうちに袋掛けをして害虫や病気を軽減する工夫も必要です。

アボカドの品種は世界に約50種類あるなかで台湾には30種類あります。熟すと皮は緑から紫に変わり、果実は洋梨形、丸形、楕円形、ズッキーニやひょうたんのような形になることもあり、品種は早生、中生、晩生の3種類に分けられます。 台湾でのアボカドの生産時期は盛夏の6月から翌年2月までです。

アボカドは追熟が必要な果物です。熟した果実は指で軽く押すと凹みができ、振ると中で種子が動く音がしたら食べごろです。 アボカドは柔らかくなる前に冷蔵庫で保存すると追熟が止まってしまうので、まずは常温で追熟することをお勧めします。 アボカドは栄養価が高く脂質が多いので一度にたくさん食べるには不向きなことから、少量を購入し追熟させ生で食べるのがおすすめです。熟した後は新聞紙に包んで冷蔵庫に保管し、早めに召し上がってください。 また、皮と種子を取り除き、小さく切ってビニール袋に入れて冷凍すればアボカドアイスクリームとして楽しむこともできます。 アボカドはジャム、オイル、カプセルにすることもでき、フェイシャルマスク、洗顔料、その他のスキンケア製品としても非常に人気があります。