白い柔肌「美人腿」有機マコモダケ

新鮮で白く柔らかいマコモダケの興味深いところは、中国語で茭白筍と言う名称を持ちながらもタケノコではなく、カビのような黒い点が成長の鍵となっていて、どのように調理しても柔らかくて美味しく、食用野菜の他にも、紙の原料となったり、文化創造や地方創生の発展を育むこともできる経済性の高い農作物といえます。

茭白筍という名称でありながら筍ではなく、イネ科の水生植物で、他にも茭筍や水筍という名称を持ち、古くは菰などと、沼や水辺の背の高い植物を意味する名称で呼ばれていました。李時珍の《本草綱目》には「江南の人々は菰を茭とよび、根がくっついている」とあり、マコモダケは中国では1000年を超える栽培の歴史があり、約200年前に台湾に伝えられました。

台湾は土地が肥沃なうえ温暖多湿で水源が豊富で、土質に粘りがありマコモダケの成長に適しています。

マコモダケの品種は地域によって違いがあり、外側が緑色の品種は埔里、外側が赤い品種は北部の三芝や宜蘭礁溪に多く、中でも埔里の生産量が全体の９割を占めています。4月から10月、清明節から中秋節が収穫季で、北部では中秋節後の9月から11月が最盛期でしたが、品種改良を経て、現在では一年に三回収穫ができるようになっています。早朝に水の多い栽培地に入り、手早い作業で新鮮で柔らかいマコモダケが収穫できます。

多くの人が、初めてカビのような黒い点を見て、「一体食べられるのか？」と疑うそうです。実は、その黒い点こそがマコモダケの成長のポイントで、「黒穂菌」（くろぼきん）という菌の胞子がその正体です。黒穂菌とマコモダケは共生していて、マコモの若い茎が菌の刺激を受けて膨らみ、白く綺麗な美女の脚のようになります。

マコモダケは繊維が豊富で水分量が多く、100gごとに22キロカロリー、カルシウム、リン、鉄分、ビタミンA、C、B1、B2などの栄養素に富んでいます。簡単な調理で十分おいしく食べることができ、透明感のある白色になるまで茹で、冷やしてタレをかければおいしいサラダが出来上がります。または、炒めたり焼いたりスープにしたり、調味料を加えれるだけで美味しくなります。マコモダケはキムチを作ることができ、夏から冬まで美味しく楽しめます。

有機栽培のマコモダケは、苗の時期にスクミリンゴガイ（ジャンボタニシ）に噛まれたり、成長期には真菌や褐斑病の脅威があり、小規模農家は苦茶粕や硫黄粉などの有機材料でそれらを防止し、病原菌に侵された葉や雑草を除きます。通常、マコモダケはウキクサや赤浮草の間の水に浸かっているので、直射日光が当たらないことで雑草が抑制され、窒素肥料が増加することでマコモダケが成長します。

有機マコモダケ農家は化学肥料や農薬を使用しないので、水辺の生態が非常に豊かです。近年の地方創生と結びついて「美人腿祭り」のアクティビティが始められ、マコモダケを使った料理や清潔な有機農場主催の体験では、参加者に防水服、笠、アームカバー、鎌を持たせ、水の中のマコモタケの成長環境に触れ、泥の中にゆっくりと足を踏み入れながら、トンボの羽ばたきを聞いたり水中の魚が泳ぐのを見たりできます。

マコモタケの底側の皮は色々な用途があり、殻を細くスライスし、卵や小麦粉を加えてマコモダケの殻のパンケーキが作れます。また、一本一本のマコモダケの殻を日干しにし、一つにまとめて自然の団扇ができます。また、水につけ煮沸し繊維を取り出し、手作りの紙を作ることができます。マコモダケは、食べて美味しく捨てるところが少ない、循環性の高い経済的な野菜です。