柔らかく濃厚な台湾有機タロイモ

柔らかく濃厚な台湾有機タロイモ

台湾にタロイモが伝来したのはおそらく16世紀で、東南アジアからの移民により伝えられたと考えられ、1603年に明朝の陳第が当時のトウモロコシ、芋、稲、キビ、サツマイモなどの澱粉類を主に記した〈東番記〉という文献に初めて登場します。

サトイモはサトイモ科サトイモ属の、食用の球形地下茎を指し、薬用にもなります。 生育環境は高温多湿の気候を好み、水芋（水田栽培）でも乾芋（畑栽培）でも、緩い砂質で通気性の良い土地に適しています。台湾の主なタロイモの産地は、屏東の高樹、台中の大甲、苗栗の公館、高雄の甲仙と三民郷で、作付面積は台湾全体のタロイモ産地の70%以上を占めています。 特に、大甲のタロイモスウィーツと嘉仙のタロイモアイスは有名な贈り物として知られています。 小金門のタロイモは柔らかさで有名で、蘭嶼のタロイモは大武文化の生態学の知恵が蓄積されています。

タロイモには大変多くの品種があり、形や用途によって母芋と子芋の二大品種に分けられますが、市場でよく耳にするビンロウタロ属の母芋の栽培の歴史が最も長く、作付け面積が最も大きい品種で、楕円形で表面が褐色、中身は白く芋の断面に紫色の筋があるのが最大の特徴で、ビンロウタロと呼ばれており、 地下茎とともに茎も野菜料理として食べられます。

有機タロイモの生育期間は少なくとも10ヶ月で、植え付けの時期は通常1月から3月、収穫期は7月から翌年の4月にかけてで、重陽節の頃によく収穫されます。従来農法では化学肥料を多量に使用するため、時間の経過とともに土地の酸性化が進んでしまいますが、有機栽培のタロイモは途中で天候によるリスクがあるものの、多くの農家は水田で米とタロイモを交互に栽培しバランスを調整したり、宜蘭で「有機タロイモと野菜の間作方式」を推進し、タロイモと福山レタスを一緒に栽培して収益を増やすことに成功しています。

有機サトイモ畑の管理には人間による世話が必要で、特に最初の 3 年間は、用地の選択から、耕土、植え付け、間引き、施肥、雑草などの環境管理などの手間がかかります。 タロイモは多量の施肥が必要なため、小規模農家による有機栽培では、苗を間引いて栄養分を親株に集中させます。害虫は主にハスモンヨトウで、農家は 夜にヘッドランプを使って虫を捕まえ、スクミリンゴガイの害には苦茶粕を使用し、3〜4日毎に除草を行い後の手間を軽減します。病害に遭遇したときは、対処や制御のための材料などを、農家は経験をもとに試してゆきます。通常、これらの些細な手間のかかる作業がサトイモの成長とともに進められ、周囲の生態環境が順調に整えば、農家はやっと一安心です。

有機タロイモは従来のものよりも少し小ぶりで、身がしっかり詰まっていて柔らかいので、収穫は手で行い、一つ一つ表面の土を手袋やスポンジなど丁寧に落とし、虫食い穴などがないかよく見ます。何千回も繰り返されるこの手作業により、タロイモに含まれるシュウ酸カルシウムで手がかぶれたりするので、有機タロイモが人々の口に入るまでには実に多くの手間と苦労がかかっているのです。