旬の秋に香る有機柿

旬の秋に香る有機柿

柿の原産地は中国で、3000年以上前の書物《爾雅》、《禮記》に記録されています。《諸羅縣志》によると、柿は清王朝の時に移民によって台湾に齎されました。

柿は柿樹科の喬木植物で、世界の柿の品種は千種類に上ります。経済的な栽培がなされているのは東方柿（Persimmon）だけであり、台湾でも一般的に食べられている柿は東方柿です。柿の木は、地形や土壌をあまり選ばず、山や平地、海辺でも育ちますが、土壌の層が深く水はけがよく、適度な水分を含む土壌が適しています。

台湾の柿は、樹上で自然に脱渋がなされるかどうかで渋柿と甘柿の2種類に分けられます。四周柿、牛心柿、石柿などは渋柿で、食べる前に人工的に脱渋する必要があります。樹の上で自然に脱渋する柿は、脱渋の度合いによって完全甘柿と不完全甘柿の2種類に分けられ、生産量の90％を占める富有柿、次郎柿、花御所柿は甘柿に属します。また、墨をたっぷり含んだ筆のような形を持つ筆柿は、不完全甘柿に属します。

柿の色が緑、黄色から赤に変わった時が収穫時期で、9月から11月にかけて、異なった産地で収穫が始まります。 8月中旬は台中で四周柿、 9月中旬は新竹と苗栗の石柿が収穫され、干し柿の原料となります。嘉義では9月下旬に牛心柿が収穫されます。甘柿は主に台中の和平で栽培され、10月中旬に次郎柿、10月下旬に花御所柿、11月上旬に富有柿が収穫されます。

有機柿栽培は、天候を克服しなければならず、有機小規模農家は勇気と知恵を絞って柿の木を世話します。 彼らは土壌の活力を保つために農薬、肥料、除草剤を使用せず、病虫害対策にはフェロモン粘着板を使用し、生育状況に応じて剪定や葉刈りを行い、生育スペースを確保し病害を軽減します。有機農園の中には、生態系の多様性を重視し、除草をしない草生栽培を採用したり、標高の高い高山に農園を持つ有機農家は、いくつかの果実にわざと袋掛けをせず、リス、サル、鳥が甘い柿を食べることができるようにしています。

有機柿は、色が均一で果実の形が大きく、果肉がよく詰まっていて表皮がきれいで、ヘタが鮮やかな緑色のものが良いものです。果実にひび割れや風による擦れ傷があると、見た目にも味にも影響します。規格は通常重量で表され、5Aは5両（187.5g）、通常柿は6Aから8Aが最も人気があります。また、保存方法にも秘訣があり、柿は後熟果実なので、輸送時期に合わせて事前に収穫するのが一般的ですが、熟しが足りない柿は、エチレンガスを放出するバナナやリンゴなどと一緒にしておき、塾したら紙やビニール袋に包んで冷蔵すれば、3日は保ちます。甘柿はお好みで、硬めでも柔らかめでも、それぞれ美味しくいただけます。

柿は美味しく水分たっぷりで、食物繊維、ビタミンC、カロテンやカリウムが豊富で、干し柿の表面の白い粉は咳止め効果があり、柿の葉を干して作った柿の葉茶は免疫力を高め、酢や酒を作ると独特の風味があるなど体にもよく、「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがある程です。ただし、食べる際にはいくつかの注意点があり、空腹で食べないこと、胃酸が多く分泌されやすくなること、タンニンを含んでいるためエビやカニなどと一緒には食べてはいけないこと、などがあげられます。柿は糖分が多いので、食べすぎないようにする必要があります。

柿は、生食から漢方薬、加工食品や文化的な柿染めにまで応用され、「柿」と「事」・「世」の発音が同じことから、「柿柿如意」（全てのことが思いどおりになる）とも言われ、まさに「神仙の果実」の名の通り、素晴らしい果物です。