食卓に彩りを添える有機カラーピーマン
- 2024-06-15
- 2024-06-18
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ピーマンは中南米原産のナス科作物です。台湾のピーマンはオランダ統治時代に伝わったと考えられており、第二次世界大戦後に広く栽培されるようになりました。初期に食用にされていたのは生食での風味が強い緑色のピーマンが殆どで、台湾では一般的に「大同仔」という名称で知られる「ブルースター」や「カリフォルニアキング」が栽培されていました。後の 民国80年代(西暦1990年代)以降、台湾にオランダから導入されたピーマンは、赤、黄、紫、白、茶色などの色があり、味がまろやかで果肉が厚くサラダなどの生食に適していて、消費者に広く愛されています。
ピーマンは温暖で乾燥した気候を好み、水はけ、風通し、日当たりが良好な砂質の土壌を持つ生育環境が適しているので、台湾での主な栽培地域は、南投市信義郷、仁愛郷、嘉義県、雲林県などに集中し、それぞれの産地の気候によって栽培施設を工夫し、棚栽培、露地栽培、ネットルーム栽培などが採用されています。このように、農家の方々が丹精込めて育てたカラーピーマンは美しく、シャキシャキとした食感で私たちの食卓に彩りを添えてくれます。

カラーピーマンの有機栽培では、手を加えすぎない引き算の考え方が重要で、自然界の助けを上手に活用して収穫を迎えます。 例えば、害虫駆除に関しては、自然界の優秀な昆虫ハンターである野生のメジロに任せれば生体の多様性保持にも繋がりますし、必要な時期に適切な部分の剪定を行うことも大切となります。つまり、ピーマンの上部の常に枝分かれする成長点部分を、主幹と4〜5本の枝を残すように選定することで、余分な枝や古い葉を取り除き、果実に十分な栄養が運ばれるようにします。 有機農家は、ピーマン栽培で発生しがちなうどんこ病、真菌、炭疽病に対処するため硫黄と石灰を混ぜた有機天然殺菌剤を独自に作って使用します。また、 雑草駆除に対してはやり方はさまざまで、小規模農家は雑草を自力で引き抜くこともあれば、畝に藁を敷き詰める方法をとることもあります。
ビタミンCやカロテンが豊富で食卓に彩を加えるカラーピーマンは、上部のヘタの周りが盛り上がり、果肉はしまっていて、全体の形は逆三角形で皮にツヤがあり、茎が新鮮なものを選ぶのが良いでしょう。 カラーピーマンの保存方法は、冷蔵保存はせず、1週間で食べきれる量を購入し、新聞紙に包んで冷暗所に保存します。

調理面では、生産時期によって切り方や調理方法を変えることにより、カラーピーマンの魅力をさらに引き出すことができます。 夏に出回り始めたばかりのカラーピーマンは、柔らかく肉厚で甘みがあり、繊維に沿って縦に切り、高温でさっと炒めることでシャキシャキとした歯応えが際立ち、果肉と共に種もやわらかく美味しいので、種付きのまま炒めることで、シンプルな味付けで最高に美味しくいただくことができます。
生産期終盤のカラーピーマンは固くなっているので、輪切りにして種を取り除き、一度揚げてから水分を加えて蒸しながらゆっくり加熱すると柔らかさが増し、本来の味わいと甘味が引き出されます。
(生産時期別の料理については著書『内田悟の野菜教室』を参考にしてください)